PK/伊坂幸太郎
★★★☆☆
概要:
そして、子供たちは目を輝かせる。
「PK」「超人」「密使」からなる“未来三部作”。こだわりとたくらみに満ちた三中篇を貫く、伊坂幸太郎が見ている未来とは――。
その決断が未来を変える。連鎖して、三つの世界を変動させる。
●今から思えば、試されていたのかもしれない――PK
●君も闘っているのか? 俺たちは楽じゃない――超人
●世界を救うのに、誰かが蔑ろにされるなんて――密使
感想:
三本の短編が載っている、という形式だった。
一作目ではよくわからなかった話の筋も、三作目まで読み終えるとなんとなくわかった。
三作が実はつながっていた、というオチが秀逸だった。
様々なストーリーをうまくかみ合わせて最後までもっていくやり方は、まさに伊坂幸太郎だな、という印象を受けた。
非現実のファンタジー的SF的要素で描かれていたはっきりとするのは最後の「密使」であった。
一作目の「PK」を読んだときは、またゴールデンスランバー的に、なんらかの権力に翻弄される人の話なのかな、と思ったけれども。違った。
確かになんらかの権力ではあるのだが、それは世界を良い方向にもって行こうとする力だった。
悲惨な未来を救うために、「PK」の主人公はPKを決めてはいけなかったんだろうなあと最後にわかる。
三本目の「密使」でいきなりSF要素がガンガンぶちこまれた。
めちゃくちゃ長い説明が繰り広げられた。
それでもすっきりと読むことができたのは、伊坂幸太郎の力だと思う。
けれどもいささか強引に過ぎた気がする。
おそらく2回3回読めば読むほど味わい深い話なのだろうけれど、何度も読み直す気にはなれない。
キャラもそれほど立っていなかった。
登場人物の区別はつくけれども、その人間に惚れる、というようなことはなかった。
SF的な話はこの人はそれほど向かないのかもしれないなあ。
何度も読み直す気がない人は、最後の解説を読めばあらかたスッキリするだろう。
それでもやはりサクサク読みやすい文体は素晴らしかった。
「ゴールデンスランバー」を読んで、伊坂幸太郎の作品は読破しようと決めた。とりあえず図書館で借りれるものを読みきってしまおう。
次が楽しみだ。